菊ちゃんの横浜歴史探偵 第1回:アメリカ山公園の歴史と魅力

アメリカ山公園は、横浜市中区山手町にある全国初の「立体都市公園」です。みなとみらい線「元町・中華街駅」の屋上に広がるこの公園は、元町エリアと山手エリアをつなぐ開かれた空間として整備されました。

横浜開港150周年を記念して2009年に一部開園し、2012年に全面開園。横浜のシンボルでもあるマリンタワーを背景に、緑豊かな広場が広がるこの場所は、地元の人々や観光客の憩いの場となっています。

🕰️ 過去と現在をつなぐ「アメリカ山」の歴史

アメリカ山という名称は、幕末から明治初期にかけて米国公使館の建設予定地だったこと に由来します。その後、横浜が開港すると、外国人居留地としての役割を持ち、戦後にはアメリカ軍に接収されるなど、時代とともに変遷を遂げてきました。

また、このエリアには「元町貝塚」と呼ばれる縄文時代の遺跡も発見されており、実は1万年以上前から人が住んでいた場所 でもあります。近代的な都市の中に、古代からの歴史が眠っているというのも、横浜らしい魅力の一つです。

元町貝塚

元町貝塚(Motomachi Shell Mound)
元町貝塚は、昭和49年(1974)に外構人墓地の北東斜面で発掘された、縄文時代中期初頭(およそ5,500年前)の貝塚で、貝とともに土器などがみつかっています。
平成18年(2006)にアメリカ山公園の建設に先立って、台地の東側で発掘調査が行われ、厚く堆積した貝層がみつかり、ここにも貝塚があることがわかりました。
この貝層からは縄文時代前期末から中期前半の土器をはじめ、石器や骨角器・貝製品など、縄文時代の人びとが使っていた道具がみつかりました。また、貝塚を構成する貝は、ハマグリやアサリ・マガキ・アカニシ・カガミガイ・オキシジミ・バイ・ツメタガイなど多くの種類がみられ、当時のこの周囲が海でとても豊かだったことがうかがえます。

さらに、公園内に設置された石碑には、アメリカ山の歴史的背景が詳しく記されています。この石碑によれば、当初はアメリカ公使館の建設予定地として指定されていたものの、実際に使用されることはなく、代わりにアメリカ公使館の通訳官が住んでいたことが記録されています。

アメリカ山 (America-yama)
1867年(慶応3年)7月25日、現在の山手本通りからフランス橋通りにかけての200区画の競売が実施され、山手地区は外国人居留地として開設されました。
アメリカ山は外国公館が立ち並ぶ山手97番地に位置し、以前からアメリカ公使館の建設予定地として計画されていました。しかし、当時のアメリカ公使ロバート・B・ヴァン・ヴァルケンバーグはこの場所に住むことなく、山手27番地(現在の横浜山手女子中学校・高等学校敷地)に官邸を構えました。そのため、公式な住居を持たなかった山手97番地には、アメリカ公使館の通訳官を務めていたA.L.C.ポートマンが住むようになりました。
1876年(明治9年)以降、山手82番地の横浜一般病院(Yokohama General Hospital、現在の横浜インターナショナルスクール)をピルクスが運営し、イギリス人医師ウィーラー(Dr. Wheeler)が住んでいました。しかし、1923年(大正12年)9月1日の関東大震災でウィーラー邸は倒壊し、彼は同年10月に英国へ帰国しました。その後、1925年(大正14年)には新たな建物が建設されましたが、戦後になるとアメリカ軍によって接収されました。終戦後、山手97番地(アメリカ山)の敷地には米軍住宅が建設され、1971年(昭和46年)に返還。その後、2004年(平成16年)に横浜市所有となり、一部が公園として整備されました。こうして、アメリカ山公園として今日に至っています。
                                   アメリカ山公園の石碑より

🖼️ 横濱今昔写真と巡るアメリカ山公園の歴史

『菊ちゃんの横浜歴史探偵』では、歴史的な視点から横浜を深掘りするために、横濱今昔写真 とのコラボレーションを行っています。

「横濱今昔写真」は、横浜の街並みの「昔」と「今」を比較しながら、その変遷を記録・紹介するプロジェクト。今回は、貴重なアーカイブ写真をもとに、アメリカ山公園周辺の過去の風景と現在を比較しながら、その歴史的背景を探っていきます。

🔍 過去と現在の比較

当時(明治後期〜関東大震災前)
今から120年前の明治後期に撮影された古写真。現在の山手「アメリカ公園」から山下町を見下ろす構図で撮影されている。当然マリンタワーやタワーマンションはまだ無く、代わりに低層の西洋建築が多く建ち並んでいる様子。山手町や坂下の山下町一帯は、横浜開港直後に来日外国人が住まうための外国人居留地が設定されていた地域。当時の横浜で最も異国情緒あふれる景観が広がっていた。

横濱今昔写真蔵

現在(アメリカ山公園からの風景)
現在の風景と比較すると、都市開発が進み、周辺には現代的な建築や道路が整備されました。かつての風景とは異なりますが、今も歴史の名残を感じることができます。

横濱今昔写真蔵

🔗さらに詳しく知りたい方はこちら!

横濱今昔写真では、アメリカ山公園の明治・大正時代の貴重な写真と解説を掲載しています。
歴史の変遷をより詳しく知りたい方は、下記リンクからご覧ください。

👉 横濱今昔写真のアメリカ山特集を見る(外部サイトへ)

🎥 菊ちゃんが巡る!アメリカ山公園の見どころ

📌 展望スポットからの絶景:横浜港・マリンタワーを一望できる開放的な風景
📌 元町・中華街駅直結の利便性:エスカレーター&エレベーターで簡単アクセス
📌 元町貝塚の歴史ロマン:縄文時代から続く、横浜の知られざる過去
📌 フリーマーケットやイベントも開催:地元住民と観光客が集う活気ある場所

📢 まとめ

アメリカ山公園は、横浜の「今」と「昔」が交錯する魅力的なスポット。今回の歴史探訪を通じて、皆さんも横浜の奥深いストーリーを感じていただけたでしょうか?

『菊ちゃんの横浜歴史探偵』は、これからも横浜の歴史的スポットを巡りながら、「街が持つ時間の流れ」 を探っていきます。

アメリカ山公園住所:
〒231-0862 神奈川県横浜市中区山手町97−1

協力:横濱今昔写真

次回もお楽しみに!

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